日記 2025

05月18日(日)〜05月24日(土)

先週

朝、四ツ谷へ向かう。教え子たちの本番の日。固唾を飲んで、本番を見守る。幕が開き芝居が始まる。お客さんの関心度がグッと高くなる。その幸せな視線の中で、彼女たちが躍動する。

結果的には、本番は悪くはなかった。ただ内向きの芝居になってしまったことは否めない。これをこのまま続けていたら、狭い世界の作品しか作れなくなってしまう。

より良いものを作ろうとする心持ちに、おいも若きもないはずだ。この大切な心持ちを伝えていきたい。

05.23.Fri

小林秀雄に出会ったことによって、僕は人生の基盤を作り上げた。彼が求め続けてきたこと、全存在の中で、僕ら人間がやらねばならないこと、認識せねばならないこと、その中で人として取るべき態度、いるべき位置。そういったことを彼の著作から汲み取り、我が精神の滋養としてきた。

午後から講師業。明日は彼女らの本番。芝居にとってはどうしても外してはならない、「熱い想い」をどうしても伝えなければならない。

そして帰宅してからは、引っ越し作業とテキレジ。流石に色々と疲れてきたが仕方ない。踏ん張っていこう。

05.22.Thu

3月後半に知り合いが何人か旅立った。彼または彼女は何かを残し、何かを隠し、何かを伝え、何かを結晶した。

体に聞く。とにかく体に聞く。そこから答えを探していく。そして世界を聴く。耳を澄まして世界に聴く。そこから自分に必要な情報を得ること。これが1日のスタートであり、その反対が1日の終わり。

天体の動き、心臓の鼓動、日々の営み、それらは果てしもない反復運動。この繰り返しのリズムに神は宿っている。そのリズムを感じ取ること。

05.21.Wed

そろりと今日という1日の内側に潜り込む。そこから上を見、下を見、左右を見て、足元を確認する。皮膚で世界の嘆きを感じて、声を発する。役者の仕事とはそういうこと。

テキレジ作業を進めながら言葉の世界に入ってゆく。訳文と戯れながら、そしてその原文を感じながら、言語というものを楽しむ。

夜はボイストレーニング。身体の奥にある道の領域を自分で探す。そんな作業を常にしてゆく。そいうボイトレスタジオ。よきところ。

05.20.Tue

夏の仕事がなかなか決まらない。昨年のゴタゴタは解決したので、妙な心配はしていないが、なかなかスムーズにはいかないものだ。

引っ越し作業、ほぼ目処がたった。後は堅実に進めていくだけ。捨てるものは捨て、掃除をできるだけきちんとし、部屋への感謝を忘れずにいること。

「他人の目」のテキレジを進める。戯曲の核心がだんだん僕の中に入ってくる。すると景色が変わってくる。

05.19.Mon

充実した時を過ごした後は何て心が穏やかなのだろう。今回の「傀儡師」で、壁をひとつ、ほんのまだひとつだが、超えられたような気がする。自分の踊りに新たな空気が紛れ込んできているのがわかる。

引越しの準備の仕上げを何とかする。粗大ゴミの手配、要不要の分別、そして掃除。2年間お世話になった部屋だ。ぞんざいに扱うことはできない。

そして「他人の目」のテキストレジー。ほぼ方向は定まったが、どういう形で持っていくかは決めかねている。

05.18.Sun

ちょいと曇り空かな。荷物をしこたま抱えて小田急線で狛江までいく。9:00前にはエコルマホールに入る。師匠をはじめ、懐かしの方々と会う。スタッフの方々は大忙しだ。

楽屋の最低限の準備、そして自分の準備。振付を反芻しながら着付けの時間を待つ。

「傀儡師」本番。曲が始まり出の切っ掛けがくる、魂にスイッチを入れ、眩い空間に溶け込む。そして一気に熱く冷静に踊り切る。

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