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このページでは、酒井が日々感じていることをコラム風に書き綴っていきたいと思っています。

#13・元首相銃撃

去る参議院選挙2022終盤の最中、安倍元総理が奈良県での遊説中に銃撃され、結果亡くなられた。暗殺である。

僕はショックというよりは、この時期に起きたか、という何かタイミング的な妙に感じ入っていた。投票日2日前の凶行、そして投票結果への影響、その後の政局への波紋、どれをとっても、ある意味絶妙なタイミングだとしか思えない。ただ、この悪質な事件をある策略の元に行われたとも考えない。そこに意図があろうがなかろうが、結果を厳粛に受け止めるところからしか、僕らには術がないから。

古事記を紐解けば、暗殺なぞ、素っ気なく書かれているし、謀略や裏切りなどは日常茶飯事の衣を纏っている。この2、30年に限ったって、元首相ほどの要人ではないにしても、こっそり消されたのではないかと思われる案件もたくさんあるだろう。オウム真理教が世間を賑わせていた時、とある幹部がテレビ取材の生放送中に刺殺されて、その一部始終の映像がそのまま全国に流されていた。

そして、そんなことがあったことを世間はあっという間に忘れる。というか、いちいち覚えていては、僕らは日々の生活を送るのに不都合だから、記憶の脇に何気なく追いやる。安倍元首相暗殺から今日で一週間が経つが、もうその傾向が出ていると思う。

でも、僕は、この凶行を忘れたくはない。いわゆるマスコミが僕たちをどこかに誘導したいのだろうが、僕は、自分の頭で、感覚で、忘れてはならないことのひとつ、だと強く感じている。

たぶん、そこには、今日本には、戦後体制からの脱却の好機が横たわっているからだと思う。右とか左とか関係なく、憲法を考え、エネルギーを考え、家族を考え、総じて日本を考える。そういう好機。

たまたま僕自身が、「死」を現実的に考える年齢になったのもあるが、ロシア・ウクライナ問題が収束を未だ見せない中、日本という集団が、どのような基準で、どのような具体的な方法で、どのような志を持って、進んで行くべきか。

自分で考えるしかない。日本語という言葉を使って、自分で見つめるしかない。

2022.07.15

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