Takahiro Sakai Web Site

酒井孝宏ホームページ
HOME自己紹介好きな芸術家日々是好日日記
好きな小林秀雄の作品
蘇我馬子の墓
モオツァルト
ドストエフスキーの生活
実朝
西行
本居宣長

日々是好日

このページでは、酒井が日々感じていることをコラム風に書き綴っていきたいと思っています。

#12・生と死

生きるとはなんだろう、死ぬとはなんだろう、という問題は子供の頃からよく考えてきた。都会の片隅に生まれ育ち、家のすぐ目の前が幹線道路ゆえに、交通事故死を何度も見てきたし、親戚や知人に自ら命を断つ方も複数人いたし、リストカッターも顔見知りでいた。

「戦争」を考えれば、近々の事として、ロシア・ウクライナ戦争があるし、日本は明治維新以降でも数多くの戦争を経験していて、国家間で戦争をするということは、必ず何人かの兵士が死ぬ、ということでもある。

また自動車社会であるということは必ず交通事故死があることを含んでいるし、世界の事象全般を見渡して、事故死がまったくない状態を考えられるか、と言われれば、まず考えられない。

明日は我が身、ということを素直に思えば、自分がいつ致命的な事故に巻き込まれてもおかしくないということであり、そもそも永遠に生き続けられないことは大前提としてあるのだから、「死」を気にしすぎて生きることは、ほとんど意味がないように思える。

理不尽な「死」はできるだけ避けたいとは思うが、大前提の「死」を腹の底で受け止めて、その上で「生」に邁進するしか、僕らには選択肢はないのかもしれない。

僕らは、「死」が前提として厳存して、その上で、人を愛し、命を慈しみ、生命を繋ぎ、生をまっとうする。その過程で、道半ばで何かしらの理由で倒れたとしても、また、始める。その連続。連綿と続くこの営みが、結局、生きるということとなる。そういうことなのだろう、とたまに考える

2022.06.26

前のコラム次のコラム